「八百万の神(やおよろずのかみ)」は、日本の神観をあらわす言葉です。山や川、木や石、風や雨、そして人の感情にまで神が宿る——そんな世界観のもとで育まれた、無数の神々の総称を指します。
「八百万」は文字どおりには800万ですが、ここでは具体的な数ではなく「数えきれないほど多い」ことを表す慣用表現です。日本では古来、唯一絶対の神ではなく、さまざまな性質をもつ神々が並び立つという多神教的な世界観が根づいてきました。
興味深いことに、英語の myriad(ミリアド)も、もとは古代ギリシャ語で「10,000」という具体的な数を指し、のちに「無数」を意味するようになりました。八百万 = myriad は、異なる文明が独立に生んだ、同じ構造の言葉だといえます。
八百万の神々の物語は、奈良時代に編まれた『古事記』(712年)や『日本書紀』(720年)に数多く記されています。世界のはじまりを語る神話から、天の岩戸隠れ、ヤマタノオロチ退治、国譲りまで、神々の営みが豊かに描かれます。
八百万の神の考え方の根底には、自然のあらゆるものに聖なるはたらきを見いだす感性があります。大きな岩や古い木が「ご神体」として祀られるのも、この世界観のあらわれです。善悪で割り切れない、多面的な神々が共存している点も特徴です。
Kamitype では、古事記・日本書紀に登場する神々のなかから12柱を取り上げ、それぞれの神話・象徴・ご利益を解説しています。